ショートショートの天才・星新一の代表作を紹介!aiを予言?nhkで放送!

ショートショート, 星新一

代表作は「箱」?「おーいでてこーい」?天才・星新一ショートショート!aiも登場!

星新一のショートショートは普遍性が特に高く、すべてが代表作とも言われている。ここでは、nhkでもアニメ化された星新一のショートショートから厳選し、「これこそが星新一の代表作!」と言えるショートショートを紹介する。

「おーいでてこーい」

青空文庫にも収録されている、星新一の代表作。オーソドックスなSFショートショートで、突如として地面に開いた謎の穴から物語が始まる。

小石でもゴミでも産業廃棄物でも、とにかく不要なものは何でも捨てられる謎の穴。人々はその便利な穴に「おーいでてこーい」とばかりにあらゆる物を放り込んでいくが……。

ラストはショートショートの天才・星新一ならではの奇抜で皮肉の利いた展開で、ブラックかつ天才的なオチも必見である。

「箱」

ショートショートの天才・星新一の隠れた代表作。主人公はある日、ひょんなことから得体の知れない箱を拾う。鍵はかかっていないのでいつでも開けられるが、主人公はいつもあと少しのところで開けるタイミングを失ってしまう。

やがて主人公に死期が迫り、彼はようやく謎の箱を恐る恐る開けてみるが……。ラストの瞬間まで読者に謎を残すという、まさに星新一ショートショートの王道である。

「ボッコちゃん」

星新一ショートショートと言えば、というテーマで真っ先に思い浮かぶほどの代表作である。nhkの星新一特集でもアニメ化された。

「美人だが、少しツンとしている」という人型ロボット・ボッコちゃん。場末のスナックでホステスとして働くボッコちゃんにある日、ひとりの青年が恋をする。ボッコちゃんを生身の女性だと思い込んだ青年の恋はやがて、スナック全体を巻き込んだ壮大な悲劇へとつながっていく……。

言うまでもなく、ボッコちゃんはaiの原型であり、相手の言葉をオウム返しにする程度のコミュニケーションが可能であったことから、当時のaiとしてはかなり高度な人工知能を搭載していたと見られる。

1950年代の段階からaiをさりげなく予言してしまうところに、星新一のショートショート作家としての天才性がうかがえる。

午後の恐竜

ショートショートの天才・星新一にしてはめずらしい長編の代表作。ある日、ごく普通の都市生活に、白亜紀を思わせる恐竜が表れる。恐竜は実在するわけではなく単なるホログラムなのだが、原因がわからない人々はパニック状態に。

やがて恐竜は消え、かわりに特大サイズの縄文人が表れる。「あれは一体何なのだ」。次々と移り変わるホログラムに人々が混乱している中、映像はどんどん新しいものになっていく。

街のど真ん中に突然恐竜がホログラムで表れるというSFショートショートの王道パターンと、ラスト数行でのブラックな文明批判はまさに天才・星新一の得意技であり、文句なしの代表作である。

「繁栄の花」

これぞ星新一、とも言えるショートショートの王道的代表作。ある星の片隅に咲いた正体不明の花。その美しくも不気味な花は「繁栄の花」と名付けられ、ある人は崇め、ある人は怯え、ある人は恐れおののいた。

花びらの成熟とともに文明は進歩しつづけ、繁栄をきわめたが、愚かな人類は大規模な核戦争を引き起こし、自滅するように絶滅してしまう。そして、その星にたったひとつ残されたのは、美しくもあやしく咲きつづける「繁栄の花」だけだった。

ショートショートの天才・星新一のシニカルな文明観がうかがえる代表作であり、nhkでもアニメ化された。

「殺し屋、ですのよ」

星新一ショートショートの中でもブラックな代表作であり、SF的な要素をおさえた代表作でもある。

「死んでほしい人、いる?」。平凡な会社員のもとにあやしげな美女が現れる。彼女は殺し屋。死んでほしい人間の名前を告げれば、1カ月以内には必ず殺してくれるという。

男は半信半疑で憎い上司の名を告げるが、それからちょうど1週間後、その上司が川の下流で死体となって発見される。

殺し屋の力を信じた彼は、その後も数人の名前を告げ、秘密裏に葬ってもらうが、彼女には実は、殺し屋以上に人に言えない裏の顔があった……。

星新一ショートショートの新境地とも言える代表作。この作品はフジテレビの「世にも奇妙な物語」でドラマ化され、観月ありさが殺し屋を演じている。

「ずれ」

近未来を描く星新一ショートショートの代表作。ボタンひとつでほしいものやサービスが瞬時に部屋まで届くという高層マンションに住む数人の人間の「ずれ」が生み出す滑稽な悲喜劇。

この作品もまた星新一ショートショートの代表作であり、nhkの星新一特集でアニメ化されている。

「きまぐれロボット」

「おーいでてこーい」、「箱」とならぶ星新一ショートショートの代表作で、フジテレビの星新一短編特集でドラマ化されている。

近未来ショートショートの代表作であり、ロボットやaiについての星新一の深い見識と先見の明がうかがえる代表作とも言える。

「セキストラ」

星新一のショートショート作家としての処女作であり、あらゆる代表作はここから生まれたといっても過言ではない。この作品が江戸川乱歩の目に留まり、当時の『小説宝石』に掲載されたことで星新一のショートショート作家としての名前が一気に知れ渡った。

代表作多数!ショートショートの天才・星新一のプロフィール!nhkで特集!

ショートショートの天才と言われ、数えきれないほどの代表作を世に送り出した星新一。「星新一って誰?」という方のために、ここではショートショート作家・星新一の基本プロフィールについて見ていこう。

薬屋の息子として生まれる

ショートショート作家・星新一は1926年9月6日、星薬科大学、星製薬の創立者である星一の長男として生まれる。本名は星親一。ちなみに、明治大正の文豪、森鴎外は母方の大叔父にあたる。

借金返済のため小説家に

星製薬の御曹司として将来を嘱望されていた星新一だが、父・星一の死後は多額の借金を引き継ぐことになり、極貧生活を余儀なくされる。

経営の才能に恵まれていなかった星新一に、星製薬の立て直しは不可能だった。絶望した星新一はそれでも生きのびるため、小説家として身を立てることを決意する。

ショートショート文化を日本に根づかせる

借金苦からショートショート作家となった星新一。当時の日本にも短編よりも短い掌編小説という概念はあったものの、起承転結のはっきりしたいわゆるショートショートはきわめて少なかった。

ショートショートを専門に書く作家などほとんどいなかった中でショートショートを書きつづけ、しかも文化として定着させた星新一はやはり、ショートショートの天才としか言いようがない。

代表作はどれ?天才・星新一のショートショートはどこがすごいのか?

すべてが代表作、とも言われるショートショートの天才・星新一が時代を超えて読み継がれる理由について見ていこう。

すでにaiを予言していた?

星新一のショートショートは文学であると同時に、予言でもある。天才・星新一はaiをはじめ、現代では当たり前になっている先端技術を次々と代表作に取り入れている。

代表作のひとつ、「ボッコちゃん」は言うまでもなくaiの原型だし、長編の代表作「声の網」ではインターネットを取り入れている。

深い見識と先見性こそが星新一の天才性と言えるのではないだろうか。

斬新なのに普遍的!

星新一ショートショートの大きな魅力、それは普遍性である。星新一のショートショートは、時代を超えても古びることがない。

それはおそらく、固有名詞が極端に少ないからだろう。エヌ氏、エフ氏……星新一は登場人物や小道具を徹底的に記号化することで、時代の波に埋もれ、風化することを防いでいたのである。

代表作をチェック!天才・星新一と同世代のショートショート作家!

星親一と合わせてチェックしたい、同時代を生きたショートショート作家について御紹介していく。

筒井康隆

星新一と双璧をなす、ショートショートの天才。星新一以上に毒気のあるショートショートを得意とするほか、「時をかける少女」など、リリカルなジュブナイルも代表作である。

小松左京

星新一がSFショートショートの天才なら、小松左京は短編SFの天才だろう。長編の代表作「日本沈没」は何度もリメイクされている不朽の名作である。

眉村卓

SFジュブナイルという新境地を開拓した天才である。晩年、病床の妻にむけて書きつづけたショートショートをまとめた「妻に捧げる1001話」はバラエティ番組で特集され、話題となった。

ショートショートの神様!星新一の代表作をnhkや青空文庫でチェック!

ショートショートという文化を日本に根づかせ、数えきれないほどの代表作を遺した天才・星新一。代表作は図書館でいつでも読むことができるため、皆さんもぜひチェックして、星新一ワールドに浸っていただきたい。