障害者映画で性をテーマにしたものはある?日本とアメリカの違いも検証!

映画, 障害者

障害者の性を扱った映画!日本もアメリカで徹底比較!

障害者を扱った映画は昔からあるが、最近では特に、障害者の性をテーマに扱った映画が日本とアメリカで増えつつある。

ここではまず、障害者の性をテーマにした映画を日本とアメリカに分けて紹介しつつ、日本とアメリカで障害者の性に関する考え方がどのように違うのか、ということを検証していきたい。

「パーフェクト・レボリューション」(日本)

リリー・フランキーが実在する身体障害者の男性を、清野菜名が精神障害のある女性を演じ、ふたりの恋愛模様や性愛について深く踏み込んだ日本映画となっている。

一般に、性(セックス)が難しいとされている脳性麻痺という障害を持つ障害者がどのように性愛を楽しみ、性生活を謳歌しているか、ということまでリアルに描かれている。

「暗闇から手をのばせ」(日本)

関西エリアを拠点に営業する身体障害者専用デリヘルを舞台に、その店に入った新人デリヘル嬢と数人の障害者との性の記録をリアルに描いていく日本のドキュメンタリー映画。

劇中にはホーキング青山という本物の障害者芸人も出演し、デリヘルが舞台ということで主人公のかなりきわどいヌードシーンがあるなど、障害者の性のリアルを赤裸々に描き切った映画でもある。

「ジョゼと虎と魚たち」(日本)

池脇千鶴・妻夫木聡ダブル主演の日本映画。芥川賞作家・田辺聖子の短編小説が原作の映画で、重度の身体障害者で歩けない女性と障害者を身近に感じたことがない平凡な男子大学生との恋愛や性愛を描く。

障害者の性を直接的に描いている映画ではないが、決して綺麗事ではない障碍者と健常者の恋愛・性愛を真正面から描いている意欲作である。劇中では池脇千鶴のフルヌードもあり、かなり衝撃的な映画となっている。

「パーフェクトワールド」(日本)

EXILEの岩田剛典・杉咲花ダブル主演の日本映画。岩田剛典が事故による中途障害者を演じ、建築事務所に勤める杉咲花と恋愛関係になっていく、という映画。

キャスティングを見てもわかるように、障害者の性愛というよりは恋愛に主軸を置いた映画となっており、性的なシーンもほとんどないが、若手注目株の岩田剛典が身体障害者を演じたということで、公開当初の話題性は抜群だった。

「セッションズ」(アメリカ)

重度身体障害者の性愛事情をリアルに描いたアメリカ映画。実在する重度障害者の男性をモデルにしており、アメリカではすでに一般的になりつつあるセックス・サロゲートの女性との性愛や恋愛を描いた映画となっている。

セックス・サロゲートは性の伝道師ともよばれ、重度の障害のために自力ではマスターベーションができない身体障害者のために性的処理を行ったり、セックスの手ほどきや正しい避妊法などを教えたりする。

「世界一キライなあなたに」(アメリカ)

エミリア・クラーク主演映画。交通事故により重度身体障害者となった男性と介護士として雇われた女性の淡い恋愛模様を描いた映画である。

ラブロマンスが主軸ということで性的なシーンはほとんどないものの、ドレス姿でニッコリ微笑むエミリア・クラークはチャーミングであり、障害者の尊厳死をテーマにした映画ということで、日本での公開時には話題性があった。

「チョコレート・ドーナツ」(アメリカ)

こちらは性同一性障害に悩むゲイの男性と知的障害者の少年の交流を描いたアメリカ映画。作中ではゲイ同士の性愛や恋愛事情、当時のアメリカの社会的差別がリアルに描かれており、日本でも話題性は非常に高かった。

知的障害者の少年が実際に映画に俳優として出演している、というのも話題性のポイントである。

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障害者映画で見る!日本とアメリカの性への価値観の違い

同じ障害者映画でも、日本とアメリカでは描かれ方がまったく違う。映画で見る障害者の性への価値観の違いを日本とアメリカで比較してみよう。

日本よりアメリカのほうが開放的

同じ障害者映画でも、日本よりもアメリカのほうが作品全体のテイストが明るいような印象がある。

それは、障害者の性をテーマにした映画では特に顕著になり、一概には言えないものの、アメリカ映画のほうが日本映画よりも「障害者の性を前向きに伝えていこう」というメッセージが強いように思われる。

ただ、最近では日本でも障害者の性をたんなる綺麗事ではなく、リアルな日常として描いている映画が増えてきており、日本の障害者観の変化の一端をうかがい知ることができる。

実際の制度も進んでいる

障害者の性をテーマにしたアメリカ映画が日本映画と比較してよりリアルに感じられるのは、実際の社会的制度が充実しているためである。

具体的には、障害者にマスターベーションや避妊、挿入行為をレクチャーするセックス・サロゲートが職業として成立し、映画で描かれるように、性生活の面で課題を抱える重度障害者に無償あるいは有償で性のセラピーを行っている。

「障害者に性欲はない」という価値観が未だ支配的な日本では考えられないことだが、アメリカでは性的権利のうえでも障害者と健常者は対等であり、食事・排泄・外出のように、性生活も障害者にとって必要不可欠な要素としてとらえられているという点で大きな違いがある。

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アメリカでもまだまだ課題が残る

映画で見るかぎり、障害者の性的サポートの面でも日本よりはるかに進んでいるように見えるアメリカだが、もちろんまだまだいくつもの課題が残る。

映画とともに紹介したセックス・サロゲートはアメリカ国内でも認知度が低く、セラピストのほとんどは無償に近い状態でサービスをつづけていると言われており、専業セラピストはゼロに近い現状がある。

日本よりはるかに進んでいるのは間違いないが、セラピストの専業化や認知度向上など、重度障害者の性的自立に向けた取り組みが求められる。

日本とアメリカ以外の状況は?

日本とアメリカ以外でも、重度障害者の性的サポートを拡充する動きは世界各国で進められている。

オランダでは障害者にかかわらず、健常者同士の売春も原則として合法になっており、重度障害者が希望し必要だと認められれば公費負担による性的サポートが受けられる(挿入行為を含む)。

また、歴史的にも性生活の面で奔放といわれる北欧諸国では、性的行為を映像で記録するかわりに売春行為が無料になるなど、日本では到底考えられない性的サービスが広まっている。

障害者映画で性を扱うのは日本・アメリカでも難しい?

日本映画で障害者の性を扱ったものはまだまだ少ない。その理由について日本とアメリカで比較してみよう。

テーマがリスキーすぎる

性的な要素がなくても、日本では映画で障害者を扱うのは非常にリスキーであるとされている。

それは第一に批判がこわいためであり、そもそも障害者に性欲はないという言説がまかり通っている日本では障害者の性、という触れ込みだけで強烈な拒否反応がおこる。

そもそも無関心?

障害者の性をテーマにした映画が日本で少ない理由はいたって単純、「あたらない」からである。映画はビジネスであるから、映画会社だってこの映画はあたると見込めばたとえリスキーな障害者モノでも制作するし、何とかヒットにつなげようとする。

そして、なぜ「障害者映画はあたらない」と見られているのかといえば、関心がないからである。映画はマジョリティにむけてつくられるものであり、マジョリティの関心事に響くテーマでなければ映画会社もなかなか手をのばそうとしない、というのが実情なのではないか。

引き受ける役者が少ない?

日本とアメリカでも、映画で障害者を演じるというのは、それ相応に勇気のいる行為のようである。

障害者問題がある意味でデリケートなのは日本もアメリカも変わらず、障害者映画で少しでも失敗すれば各方面から激しく批判され、俳優人生を大きく傷つけかねない、という裏事情が透けて見える。

障害者の性を扱った映画が日本とアメリカで増えている理由

いろいろと批判や問題はあるものの、日本とアメリカともに障害者の性をテーマにした映画が増えつつある。

その背景として、障害者への世界的な見方が大きく変わったこと、障害者自身が社会の中で発信力を強めてきた、ことなどが挙げられる。

障害者映画で日本とアメリカの性の実情を知ってほしい!

障害者の性をテーマにした映画を観ることで、性的問題だけでなく、それぞれの国が背負う社会的背景をうかがい知ることができる。

皆さんもぜひ映画をたくさん見て、日本とアメリカの障害者の性的サポートの違いについて理解してほしい。

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