やっぱり怖い？映画『ジョーカー』のヒット理由とホアキン・フェニックスの役づくり！

2019年10月16日2019年10月17日

本当は怖い？映画『ジョーカー』はどこまでヒットするか

劇場公開前から世界的に話題となっている映画『ジョーカー』。ホアキン・フェニックスがジョーカーを演じる本作はシリーズのなかでも異色作と言われており、怖いというよりも人間ドラマの切なさや、社会的なメッセージなどが際立っているという評価もある。

果たして、映画『ジョーカー』は本当に怖いのだろうか。本作の怖いポイントについて掘り下げていこう。

映画『ジョーカー』については、日本でもかなり早い段階から予告映像が解禁されていた。予告映像ではジョーカーへと変貌した後のアーサー・フレックの姿がこれでもかと描かれており、初見で見ると確かにかなり怖い。

予告編から入った初心者が本作をシンプルなスリラーだから怖いと敬遠したとしても無理はないかもしれない。

バットマンシリーズにおけるジョーカーは、巨悪に飲み込まれたサイコパスとして描かれている。しかしながら、今回の『ジョーカー』では怖い要素は比較的おさえられており、序盤から中盤ではアーサー・フレック（ホアキン・フェニックス）の心情がきめ細やかに描写されている。

前半部分でアーサー・フレックという男の切なさについて強調されているからこそ、後半にかけての転落ぶりがより恐ろしく感じられるのかもしれない。

映画『ジョーカー』が本当に怖いのは、後半部分である。社会からの理不尽な圧力に屈し、ついにはジョーカーへと変貌してしまうアーサー・フレック。

映画の中盤から後半にかけてはジョーカーへと変貌したアーサー・フレックの残虐な復讐劇が淡々と描かれ、前半部分とは映画の雰囲気が一変する。

ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ジャレット・レド……錚々たるジョーカー俳優の歴史に名前を刻むことになったホアキン・フェニックス。映画『ジョーカー』に臨むにあたり相当熱を入れていたようで、アカデミー賞最有力候補との評価も高い。

ホアキン・フェニックスはいかにして、怖いだけではないジョーカーをつくりあげたのだろうか。

精神的に極限まで追い詰められていくひとりの青年を演じきるにあたり、主演のホアキン・フェニックスは20kg近い減量に臨んでいる。

ストイックすぎる食事制限や運動療法によって徹底的にしぼりあげられたホアキン・フェニックスはアーサー・フレックの精神性と見事に同化し、ジョーカーという巨悪に堕ちていく哀しさと虚無感がリアルに表現されていた。

ホアキン・フェニックスは『ジョーカー』関連のインタビューの中で、「ジョーカーをメインに演じたつもりはない」とこたえている。

映画『ジョーカー』でクローズアップされるべきはアーサー・フレックという青年のリアルすぎる哀しさであり、従来のシリーズのように怖い要素をあまりにも強調しすぎると本質が見えにくくなってしまう。

アーサー・フレックの内面にも深く寄り添おうとしたホアキン・フェニックスの演技はおそらく、シリーズ史上永遠に語り継がれるほどのクオリティと言えるのではないだろうか。

日本ではホアキン・フェニックスの熱演も含めて大絶賛され、「怖いだけではないジョーカー像」を確立した感のある映画『ジョーカー』だが、本国であるアメリカでは必ずしも好意的に受け止められているわけではないようだ。

精神疾患の治療にあたっている専門家からは本作のジョーカー像について否定的な声が少なからず挙げられており、「ひとりの未成熟で身勝手な青年をヒロイックに脚色し、まつり上げることで犯罪予備軍へと追い落とす怖い映画」と表現する専門家もいるようだ。

要するに、映画『ジョーカー』を観た一部の若者がある種の犯罪へと駆り立てられる可能性がある、ということなのだが、日本人から見ると大げさすぎるような気もしないではない。

怖いだけではない、やっぱり怖いと評価が分かれている映画『ジョーカー』。日本でも大ヒットを記録し、早くもアカデミー賞確実との評価もある。

映画『ジョーカー』が本当に怖いかどうかはぜひ、劇場で本編を鑑賞して確かめていただきたい。

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