【ネタバレなし】映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の解説!原作やドラマとの違い!東出昌大はやっぱり下手?

2019年8月18日ビブリア古書堂の事件手帖, 原作, 野村周平, 黒木華

原作と違いすぎ?映画『ビブリア古書堂の事件手帖』のネタバレなし解説

五浦大輔はごく普通のフリーターだが、幼い頃のあるトラウマによって活字が読めなくなるという特性を持っていた。

大輔は幼少期、祖母がずっと大切にしていた古い文庫本を勝手に読もうとしたことを理由に祖母からこっぴどく叱られ、叩かれたことを成長してからも引きずっていたのだった。

祖母が亡くなり、何気なく遺品整理をしていた大輔は荷物の中から、幼き日に祖母から叱られたいわくつきの文庫本を偶然見つける。

「もう、大丈夫だろう」

懐かしさからふと本を開いてみる大輔。トラウマが癒えることはなく、最初のページさえも満足に読めない大輔だったが、ふとしたはずみで、本の最後のページに「夏目漱石」という署名があるのを見つける。

「これがもし本物なら、べらぼうに高く売れるかもしれない」

活字は読めなくても、お宝の価値はわかる大輔。早速祖母の遺した文庫本を手に、近所にある古本屋『ビブリア古書堂』を訪れる。

古本のすえた臭いと独特な雰囲気に戸惑う大輔を出迎えたのは、眼鏡をかけた落ち着いた雰囲気の美女、ビブリア古書堂店主の篠川栞子だった。

大輔から文庫本を受け取った栞子はたちどころに、文庫本に記された夏目漱石、という署名が本物ではないことを見抜いてしまう。

栞子の本に対する膨大な知識量と、1冊の本から祖母の長い人生まで瞬時に読み解いてしまうただならぬ能力に魅せられた大輔はやがて、大輔と栞子をも巻き込む壮大な謎に立ち向かうことになる。

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原作にも登場!映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の主要人物

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』には、原作にも登場した主要人物が登場する。

篠川栞子(黒木華

「ビブリア古書堂」の店主。何よりも書物と作家を愛し、文学にかけてはずば抜けた記憶力と知識量をもつ。反面、多分に世間知らずなところがあり、家事は全般的に苦手。

五浦大輔(野村周平

ごく平凡なフリーター。幼い頃のトラウマにより活字恐怖症になるが、それ以外は何不自由なく暮らしている。

稲垣(成田凌)

自称・プロの古書買付人。ネット上で古書配送業を営んでいるといい、栞子たちとは古書の即売会で知り合う。

書物に関する知識と造詣は栞子と同等かそれ以上だが、文学かぶれの言いまわしを好み、うさんくさい空気を漂わせている。

五浦絹子(夏帆※若い頃)

大輔の祖母。若い頃は食堂で働いており、その縁で田中義雄と出逢う。もともと文学についてはほとんど詳しくなかったが、田中義雄との出逢いによって次第に文学の奥深さに目覚めていき、晩年まで読書家となる。義雄とは不倫の関係。

田中義雄(東出昌大※若い頃)

自称・小説家志望。定職に就かず、いわゆる高等遊民として小説を書きつづけているがいっこうに芽が出ない。気晴らしに立ち寄った食堂で絹子と出逢い、不倫の関係になる。

ドラマよりも原作に忠実?映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の違いは?

ドラマよりも後に映画化されることになった『ビブリア古書堂の事件手帖』。ドラマや原作との違いについて見ていこう。

ドラマよりもシリアス

ドラマ版では剛力彩芽が篠川栞子を演じた『ビブリア古書堂の事件手帖』。フジテレビの月9ということもあり、ドラマ版のほうは全体的にややコミカルなテイストだった

一方、映画版『ビブリア古書堂の事件手帖』はコメディタッチではなく、全体を通してシリアスな演出が目立っていた。

和風美女の黒木華が栞子を演じるということで、セットの雰囲気にも落ち着きがあり、光と影の使い方にもドラマ版とはまた違う趣が感じられた。

また、映画版では「大輔が活字恐怖症である」ということがひとつのキーポイントになっており、そのあたりの掘り下げもドラマ版より深くなっている。

謎がシンプルでわかりやすい

ドラマ版のほうでは主軸となる謎にくわえ、複数の小さな謎が併行して描かれており、1話完結のような仕上がりになっていた。

その点、映画『ビブリア古書堂の事件手帖』では「文庫本は結局誰のものか?」というひとつの謎に絞られたことで展開がシンプルになり、観る側としてもわかりやすいつくりになっていた。

まあ、その分だけ事件の黒幕が読みやすい流れになっているのだが……。

東出昌大は本当に下手なのか

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』で若き日の田中義雄を演じた東出昌大。物語は栞子たちが生きる現代と若き日の義雄、絹子が描かれる過去が交互にさしはさまれるかたちで進行し、義雄も重要な役割を果たしている。

東出昌大に関しては以前から、「演技が一本調子」、「セリフに抑揚がない」、「何をやっても同じ演技プラン」などと言ったネガティブな評判が寄せられている。

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』で演じた田中義雄もまた朴訥としたキャラクターであり、ともすれば東出特有の棒読み演技が目立ってしまうのではないかと懸念されていた。

少なくとも個人的には、今作での東出昌大の演技にそこまでの違和感は見られなかった。確かに、作家志望の苦悩や絹子への愛情表現には紋切型の演技がところどころ見られるものの、それがかえって作品全体のトーンや雰囲気とマッチしているのである。

まあ、舞台が昭和時代というところも彼にとっては幸いしたのかもしれないが。

原作を無視?映画『ビブリア古書堂の事件手帖』のミステリーとしての評価は?

ラブストーリーの要素もほのかに感じさせる映画『ビブリア古書堂の事件手帖』だが、原作は純然たるミステリーであり、「人が殺されないホームズ物」であるところにその特徴がある。

正直なところ、映画版では主要人物が絞り込まれているということで、謎の核心を握る黒幕は中盤あたりで容易に想像がつく。勘のいいブログ読者の方は、ここまでの解説を読んだ段階で黒幕を見抜くことができているかもしれない(おそらく、御推察の通りです)。

ただ、どんでん返しがすごい、ということだけが上質なミステリーの条件ではない。映画『ビブリア古書堂の事件手帖』を通して投げかけられるテーマはどれも普遍的なものであり、たとえ結末を早々に予測できたとしても最後まで観る価値は充分にある。

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の原作は?

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の原作は、三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』。メディアワークス文庫からの刊行ということで、装丁も文体もライトノベル風となっている。

小説版のほうは全部で7巻となっており、ドラマ版・映画版どちらも基本線は小説版のストーリーを骨格にしている。

原作やドラマもチェック!映画『ビブリア古書堂の事件手帖』を楽しもう!

黒木華野村周平のダブル主演で贈る映画『ビブリア古書堂の事件手帖』。原作やドラマ版とはまた違う雰囲気が楽しめる作品に仕上がっているので、ぜひ、DVDやAmazonプライムなどでお楽しみいただきたい。

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