映画『セッションズ』のネタバレ感想!障害者の性を助けるセックスサロゲートとは?

セッションズ, 洋画, 障害者

映画『セッションズ』のあらすじとネタバレ!

重度の全身麻痺を患いながらも、献身的なヘルパーに支えられて自由気ままなひとり暮らしを楽しんでいるマーク。経済的な補助を受け、一見すると何不自由のない生活を送っているように思えるマークにも、ひとつの大きな悩みがあった。

それは、恋をしていること。定期的に訪問してくれる若く美しいヘルパー・アマンダマークはいつしかほのかな思いを寄せるようになり、「一度でいいから彼女と肉体的にもつながってみたい」と強く願うようになる。

アマンダとの距離感が充分に縮まったと感じたマークは、意を決して彼女に気持ちを打ち明けることになる……「君とひとつになりたい」というやむにやまれぬ想いも含めて。

アマンダのこたえは、ノーだった。「障害を持つあなたとそういう関係になることは考えられない」と言い残し、彼女はマークのもとを去ってしまう。

彼女への想いを断ち切れないマークは、ある日、障害者の性的な充足をサポートする「セックスサロゲート」の存在を知る。

周囲の後押しもあり、思いきって広告で見つけたセックスセラピスト(シェリル)と面談することを決めるマーク

数回のセッションを重ねる中で、マークだけでなく、シェリルのほうにもある大きな変化がおとずれる。

セックスサロゲートという枠組みを超え、自然に愛し合うようになるふたり。しかし、セックスセラピストとクライアントがセッションを通して会えるのは数回のみで、そのうえ、決して恋愛感情をもってはならないという厳密なルールがあった。

「これ以上彼のそばにいると、彼を傷つけてしまうかもしれない」

女性としての感情よりもセラピストとしての倫理観を優先したシェリルは、何も告げぬままマークの前から姿を消してしまう。

アマンダにつづき、またしても愛する女性を失ってしまったマーク。人生の希望を見失った彼に、呼吸困難による発作というさらなる危機が降りかかる。

幸いにして一命をとりとめたマークは、入院先の病院で運命の出逢いを果たし、ついに結婚することになる。

数年後、マークは持病のために息を引き取ることになるが、彼の葬儀にはアマンダやシェリルが駆けつけ、幸せな最期となった。

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障害者の性をサポートするセックスサロゲートとは?

アメリカをはじめ、欧米諸国ではすでに一般的になりつつある「セックスサロゲート」。日本ではまだまだ誤解と偏見が多いが、実際にはどのようなサポートをするポジションなのだろうか。

障害者の性的充足をサポートする資格

セックスサロゲートとは簡単に言うと、障害を持つ人たちがごく当たり前に性的快感を得られるようにサポートをするポジションのこと。

映画『セッションズ』の主人公・マークのように、身体に重度の障害があると健常者のようにはセックスを楽しむことができず、中には一生未経験のままで終えるケースも少なくはない。

セックスサロゲートはそうした障害当事者を対象に、ごく当たり前の性生活をエンジョイできるようにするためのサポートを継続的に行っていく。

アメリカではセックスセラピーともよばれ、専任のセラピストが4回~5回のセッションを通して「本当の意味で性を楽しむためのメソッド」を段階的に伝える。

セッションではセラピスト自身が全裸になり、実際にクライアントに自分の体を愛撫させ、男性から触れられた時の女性の体の変化についてひとつひとつ教え、セッションの後半ではクライアントとコンドーム付きのセックスを行う。

『セッションズ』ではマークはもちろんのこと、セラピストを演じたヘレン・ハントがベッドでオールヌードとなり、乳房や下半身を露出したことでも話題となった。

セックスサロゲートと風俗の違いは?

日本ではこの点で誤解があるようだが、セックスサロゲートはいわゆる風俗ではないし、売春でもない、

風俗店や売春はあくまでも男性本位のサービスで、女性のほうも男性の性的快感がより大きくなるようにサービスを行う。

一方のセックスサロゲートは、男性を気持ちよくさせることがゴールではない。究極的にはセラピストなしでもきちんと性的な権利を訴え、当たり前に享受できるよう、その後のライフスタイルも含めて多面的にアドバイスする役割を担っている。

そのため、セラピストには一般のセックスワーク以上の専門性が求められ、ソーシャルワーカーなどを兼務しているケースも多い。

また、多くの風俗店は健常者の男性も相手にするが、セックスサロゲートでは原則として自力での自慰行為が困難な重度障害者に対象が限定されている。

日本でも認められつつある?

自由を重んじる欧米諸国とは違い、日本ではまだまだセックスサロゲートについての理解が薄い現状がある。それはおそらく、「障害者のセックス=タブー」とされているためだろう。

世界的にはノーマライゼーション運動の影響もあり、セックスサロゲートについても公的に認めていく方向になりつつあるし、『セッションズ』の舞台となったアメリカではセックスサロゲートを専門に行う公的団体が増えているし、オランダでは個人売春を合法化する動きもある。

これらの動きをふまえ、日本が今後どのように「障害者の性」と向き合っていくかがひとつの見どころといえる。

「障害者の性」をテーマにした日本映画!

ノーマライゼーションにおいては遅れを取っているとも言われる日本だが、ここ数年で少しずつ「障害者の性」についても理解が進んできた感がある。「障害者の性」をテーマにした日本映画を御紹介したい。

『パーフェクト・レボリューション』

リリー・フランキー、清野菜名のダブル主演で贈る実話ベースの日本映画。脳性まひを患う熊篠慶彦氏の自伝的エッセイを題材に、身体障害者と精神疾患を持つ女性との波乱万丈な恋愛をリアルに描く。

『暗闇から手をのばせ!』

関西エリアで実際に営業する障害者専門風俗店を舞台に、新人風俗嬢と数人の客との心と体の交流をリアルに描く。筋ジストロフィーを患うお笑い芸人・ホーキング青山も出演。

障害者の性をリアルに描いた映画『セッションズ』を見逃さないで!

実在した全身麻痺の男性の半生を通し、」「障害者の性」について正面から問いかけた映画『セッションズ』。時間はかかるかもしれないが、日本でもぜひ本当の意味でのセックスサロゲートが根づいてほしいと切に思う。

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