ネタバレあり!映画『花とアリス殺人事件』のあらすじと見どころ!感想も!
2004年の『花とアリス』からおよそ11年。長い沈黙を破って発表された『花とアリス殺人事件』は岩井俊二氏にとって初となる長編アニメーション作品となり、その独特のタッチとテンポ、リリカルなストーリー展開によって映画ファンの間でも高い評価を受けました。声優陣に蒼井優、鈴木杏、相田翔子、平泉成ら。
『花とアリス殺人事件』を家でじっくり楽しむならコチラ!
作品タイトル | 「花とアリス殺人事件」 | |
制作年 | 2015年 | |
劇場公開 | 2015年2月20日 | |
制作国 | 日本 | |
監督 | 岩井俊二 | |
脚本 | 岩井俊二 | |
原作 | 岩井俊二 | |
キャスト | アリス | 蒼井優 |
花 | 鈴木杏 | |
ユダ | 勝地涼 | |
荻野先生 | 黒木華 | |
有栖川加代 | 相田翔子 | |
黒柳健次 | 平泉成 |
映画『花とアリス殺人事件』のあらすじまとめ!
岩井俊二監督が初の長編アニメーション監督に挑んだ作品で、2004年に公開された実写映画「花とアリス」の前日譚となる物語。前作で主人公の2人を演じた鈴木杏と蒼井優がそのまま今作でも声優を務め、2人の少女の出会いを描いた。石ノ森学園中学校へ転校してきた中学3年生の有栖川徹子(アリス)は、1年前の3年1組で起こった「ユダが、4人のユダに殺された」という奇妙な事件の噂話を耳にする。アリスの隣の家は「花屋敷」と呼ばれ、近隣の中学生に怖れられていたが、そこに住むハナという人物がユダについて詳しいはずだと教えられたアリスは、花屋敷に忍び込み、そこで不登校のクラスメイト・荒井花(ハナ)と出会う。
引用元:映画.com
映画『花とアリス殺人事件』のネタバレと評価!
引きこもりのクラスメイト・荒井花から、ユダがかつて自分たちの家に暮らしていたことを聞かされるアリス。「私、幽霊となんか暮らしたくない!」。ユダが呪いによって抹殺されたというクラスの噂をまだ半分信じているアリスは花を問い詰め、ユダが本当に呪い殺されたのか聞き出そうとします。
しかし、花はユダの件になるとなぜか口が重くなり、「ユダのことなんか知らない、興味ない」の一点張り。
それでもしつこくユダの行く末について聞き出そうとするアリスに花は半ば根負けし、アリスにひとつのアイディアをもちかけます。
「そんなに気になるなら、ユダのお父さんに会ってみれば?」
ユダのお父さん(ユダチチ)の会社へ行き、ユダコウタロウと名乗って父親を呼び出す。会いにきた父親の様子を見れば、ユダが今も生きているのか死んでいるのかがわかるはずだ……。
花の聡明さに感心したアリスは、「ユダについてもっと知りたい!」という好奇心も手伝って、花の計画に乗ってみることに。
花の指示通りにユダチチの会社へ行くアリスだったが、いくつかの行き違いによって別人を喫茶店に呼び出してしまいます。アリスが心配でこっそり尾行していた花が何とか軌道修正をはかろうとしますが、アリスはその別人をユダチチと思い込んだまま、しばらく行動をともにしてしまいます。
「ユダチチは今こっちにいるよ!」
「えっ、じゃあこのオジサン誰?」
花からの連絡を受け、ようやく事態の重大さを飲み込めたアリスでしたが、時すでに遅し。
謎のオジサンと別れ、やっとの思いで花と合流した時にはもう日はとっぷりと暮れ、ふたりして終電を逃してしまいます。
寒さをしのぐために駐車場のトラックの下にもぐりこむふたり。心を開いた花はアリスに、「ユダが死んだ本当の理由」について訥々と語りはじめます。
ユダの本名は湯田光太郎。花とユダはかつて同じクラスだった。ユダに対しひそかに恋心を抱いていた花は、その想いを何とかして伝えなければと、ユダに「誓いの証」として婚姻届を突きつける。恋に不器用な花としては気持ちを伝えるための精一杯のアプローチだったが、ユダは当然のようにこれを無視。花の想いは踏みにじられることになる。さらにユダは学年でトップクラスのプレイボーイで、同時に4人の女子を虜にし、それぞれに「将来は絶対に結婚する」とまで誓っていたのだった。
ユダからもてあそばれていたことに気づいた花は、ささやかな復讐心から、ユダの転校を告げるホームルームで、前の席に座るユダの制服の背中に花びらに包んだ蜂をそっと差し入れる。間もなくして蜂がユダの背中を刺し、ユダは激しい痛みにもがき苦しむ。それ以来、花はユダに会うこともなく、ユダの命が助かったのかどうかを知らないまま罪悪感引きこもりとなり、学校に行くことができなくなってしまった……。
これが、「ユダの呪い」にまつわる真実のすべてでした。ユダがいなくなった理由が呪いでも何でもなかったことに安堵したアリスは、同時に、すべてを包み隠さずうち明けてくれた花の勇気に感謝します。
夜が明け、やっとの思いで街に戻ってきたふたりは偶然にもユダとすれ違い、花にとっては1年ぶりの再会となります。
「あの時、蜂入れたの……お前だろ」
「……ごめん」
不器用ながらもユダに正直な気持ちを伝えることができた花はようやく罪悪感から解放され、長かった引きこもり生活からも抜け出し、次の日からまた制服を着ることを決めるのでした。
映画『花とアリス殺人事件』の見どころは?
女子中学生の繊細な冒険劇を等身大の視点から描いた映画『花とアリス殺人事件』には、皆さんにぜひともお伝えしたい見どころがたくさんあります!
岩井俊二らしいリリカルな世界観!
日常でありながらどこかファンタジックな世界観が特徴の岩井俊二ワールド。映画『花とアリス殺人事件』でもその世界観は健在で、女子中学生のリリカルな冒険劇に冒頭から感情移入してしまいます。
タイトルがタイトルなだけにおどろおどろしいサスペンスやミステリーなのかと思いきや、いざ観てみると序盤から小ネタ満載の可愛らしい映画で、いい意味で予想を裏切られました。
小ネタといえば、主人公の旧姓が「黒柳」だということもひそかなツボでしたね。まったく予想していないところからの笑いのボディブローに、思わずクスリとさせられました。
緻密すぎる伏線!
学園ドラマのようでもある『花とアリス殺人事件』は、ミステリー作品としても非常に評価が高く、うかうかしていると序盤から巧妙に張りめぐらされた伏線を見のがすことになります。
まず、誰よりも印象的なのは陸奥睦美。名前のインパクトもさることながら、アリスに転校早々、「ユダの結界を破ったわね」と迫る姿は相当な迫力。さらに、ユダの霊に取り憑かれたと言っては突然奇妙な呪いの儀式をはじめる彼女。彼女の存在感も相まって、物語の序盤にはオカルトめいた雰囲気すら漂います。
結局、中盤以降の展開によって睦美が霊能力者でも何でもなく、「ユダの呪い」も彼女のでっち上げだったことがわかるのですが、睦美が発する呪いの言葉「アナフィラキシー~アナフィラキシー~」が実は物語の真相に深くかかわってくるなど、緻密すぎる構成はミステリーファン好みです!
深いキャラクター造形
『花とアリス殺人事件』では、キャラクターひとりひとりの造形や人物描写も魅力的。個人的にはやっぱり、花ちゃんにMVPをあげたいですね。
「ユダを殺してしまったかもしれない」という罪悪感から学校に行けなくなり、周囲に対しクールな態度を取りながらも、どこか間の抜けたアリスのことが放っておけなくなり、結局は「ユダチチ探し」に協力することに。
緻密な計画を瞬時にして組み立てるなど、大人びた一面を見せる花ですが、終電をうっかり逃してあわてまくる姿はまだまだ子ども。このあたりのバランスが何ともリアルで可愛らしくて、「ガールズ版・スタンドバイミー」のような趣さえ感じました。
声優陣もハマり役でしたね。アリスを演じた蒼井優さんは近年では『ペンギン・ハイウェイ』でのおさえた演技が印象的でしたが、キャリアを積んでも女子中学生を自然に演じられるのはやっぱり、実力派の証ですね!
映画『花とアリス殺人事件』の全体の感想
ミステリー要素とともにちょっぴり胸キュン要素もある映画『花とアリス殺人事件』。女子中学生の等身大の世界がリアルに描かれていますので、当時を懐かしみたい方にもおすすめの1本です!
『花とアリス殺人事件』を家でじっくり楽しむならコチラ!
作品タイトル | 「花とアリス殺人事件」 | |
制作年 | 2015年 | |
劇場公開 | 2015年2月20日 | |
制作国 | 日本 | |
監督 | 岩井俊二 | |
脚本 | 岩井俊二 | |
原作 | 岩井俊二 | |
キャスト | アリス | 蒼井優 |
花 | 鈴木杏 | |
ユダ | 勝地涼 | |
荻野先生 | 黒木華 | |
有栖川加代 | 相田翔子 | |
黒柳健次 | 平泉成 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません