ネタバレあり!映画『ジョゼと虎と魚たち』のあらすじと見どころ!感想も!
原作は直木賞作家・田辺聖子の短編小説「ジョゼと虎と魚たち」。身体に障害のある少女・ジョゼとごく普通の大学生・恒夫との恋愛物語です。
障害のある女性とごく平凡な青年のラブストーリー……というと、北川景子主演『抱きしめたい』のような純愛物をイメージするかもしれませんが、この映画はそんな甘酸っぱい香りのする物語ではありません。
『ジョゼと虎と魚たち』を家でじっくり楽しむならコチラ!
作品タイトル | 「ジョゼと虎と魚たち」 | |
制作年 | 2013年 | |
劇場公開 | 2013年12月13日 | |
制作国 | 日本 | |
監督 | 犬童一心 | |
脚本 | 渡辺あや | |
原作 | 田辺聖子(『ジョゼと虎と魚たち』) | |
キャスト | 恒夫 | 妻夫木聡 |
久美子(ジョゼ) | 池脇千鶴 | |
ジョゼの祖母 | 新屋英子 | |
香苗 | 上野樹里 | |
ノリコ | 江口徳子 |
映画『ジョゼと虎と魚たち』のあらすじまとめ!
ある日のバイト帰り、恒夫は坂道を猛スピードで下ってくる乳母車を目撃する。乳母車のあとからよろよろと追いかけてくるひとりの老婆。その老婆は、ここ最近恒夫の住む町でひそかな噂になっている「謎のばあさん」だった。老婆のあまりの異様さにあっけに取られながらも、恐る恐る乳母車をのぞき込む恒夫……。
それが恒夫とジョゼとの出会いだった。老婆はジョゼの祖母で、明け方近くになると体の自由がきかないジョゼを毎日乳母車に乗せ、同じ場所をひっそりと散歩するのだった。
あえて明け方近くに出かけるのは、障害のあるジョゼが人目につかないようにするため。恒夫たちの前でもジョゼを遠慮なく「半端もん」と呼び、周囲とのかかわりをさけて暮らしつづける祖母に圧倒されながらも、恒夫はジョゼの純粋な瞳に心惹かれるようになり、ジョゼの住む古びた家に通うようになる。
ジョゼのほうもはじめのうちはエキセントリックな一面を見せるが、「普通」であることを大切にする恒夫の人間性に惹かれはじめ、次第に心開くようになる。
祖母の死をきっかけに互いの存在を認め合い、恋愛関係になるふたり。ジョゼの秘めたる夢を聞き、ひとつひとつかなえていく恒夫だったが、ある出来事をきっかけにジョゼとの溝を感じはじめる。そして、恒夫のほうには健常者の恋人ができ、ジョゼは祖母のいなくなった家でひとりで生きていくことを決めるのだった。
映画『ジョゼと虎と魚たち』のネタバレと評価!
兄弟が結婚することになり、恒夫も顔を出すように言われます。その際、ジョゼを恋人として紹介するかどうか思い悩んだ恒夫は、徐々にジョゼとの関係性を見つめ直します。
ありきたりな純愛映画なら、ここで彼氏のほうが彼女の障害を受け入れ、そのままめでたくゴールイン……というハッピーエンドを用意していたでしょう。けれど、田辺聖子はそうはしなかった。
ジョゼの障害を重荷に感じはじめた恒夫は結局、同じ時期に知り合った健常者の女性との交際を選び、ジョゼとの別れを決意します。
映画『ジョゼと虎と魚たち』の見どころは?
障害を乗り越えたピュアな恋愛を描いた映画『ジョゼと虎と魚たち』には、皆さんにぜひともお伝えしたい見どころがたくさんあります。
上野樹里の存在感
『ジョゼと虎と魚たち』を支える横糸として、香苗(上野樹里)の存在を忘れるわけにはいきません。社会福祉専攻の大学生を演じる香苗。恒夫とは同級生で、ジョゼの存在を知ると社会福祉の観点から、住宅の改修や生活保護の手続きなど、ジョゼの暮らしを楽にするためのアドバイスをいろいろと伝えます。
ジョゼに対しポジティブな関わりをつづけてきた香苗でしたが、あることがきっかけでジョゼと口論になり、思いあまってジョゼにビンタをしてしまいます。
(障害者に手をあげてしまった)。大学生という立場と本音の間で思い悩む香苗。等身大の女子大生の心の動きを若手時代の上野樹里が繊細に演じていて、物語にアクセントを与えていました。
ピュアすぎるデートシーン
この映画のハイライトと言えばやはり、ジョゼと恒夫のデートシーンでしょう。
祖母の死をきっかけに親密な関係になるふたり。心を開いたジョゼは恒夫に、(3つの願いごと)をします。
この世でいちばんこわい虎を目の前で見ること。海を泳ぐ魚にふれ、冷たい水を感じること……ジョゼのピュアな夢をひとつひとつかなえていく恒夫。歩けないジョゼをおぶって海に入っていく恒夫は素朴な大学生そのもので、自然なやさしさに思わず涙腺がゆるんでしまいました。
映画『ジョゼと虎と魚たち』の全体の感想
『ジョゼと虎と魚たち』がたんに(障害を乗り越えた幸せな恋愛)を描いた作品だったら、こうしてわざわざレビューを書きたいとは思わなかったでしょう。『ジョゼと虎と魚たち』には、ありきたりな福祉映画の枠にはおさまらない、田辺聖子なりのリアリズムが貫かれています。
映画のラストシーンで、ジョゼは、電動車椅子という新たな移動手段を手に入れます。住宅もバリアフリーになり、どこへでも行ける自由を手に入れたジョゼでしたがそれを果たしてハッピーエンドと呼んでいいかどうかは、私にはわかりません。
『ジョゼと虎と魚たち』を家でじっくり楽しむならコチラ!
作品タイトル | 「ジョゼと虎と魚たち」 | |
制作年 | 2013年 | |
劇場公開 | 2013年12月13日 | |
制作国 | 日本 | |
監督 | 犬童一心 | |
脚本 | 渡辺あや | |
原作 | 田辺聖子(『ジョゼと虎と魚たち』) | |
キャスト | 恒夫 | 妻夫木聡 |
久美子(ジョゼ) | 池脇千鶴 | |
ジョゼの祖母 | 新屋英子 | |
香苗 | 上野樹里 | |
ノリコ | 江口徳子 |
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません