ネタバレあり!映画『彼らが本気で編むときは』のあらすじと見どころ!感想も!

2019年8月7日LGBT, 小池栄子, 桐谷健太, 生田斗真, 荻上直子

2017年2月公開。『予告犯』、『先生!~好きになってもいいですか~』などで知られる生田斗真、『火花』の桐谷健太がLGBTのカップルを演じ、マイノリティならではの苦悩と葛藤をリアルに描き出します。監督・脚本は『かもめ食堂』で知られる荻上直子。

『彼らが本気で編むときは』を家でじっくり楽しむならコチラ!


作品タイトル 「彼らが本気で編むときは」
制作年 2017年
劇場公開 2017年2月25日
制作国 日本
監督 荻上直子
脚本 荻上直子
キャスト リンコ 生田斗真
マキオ 桐谷健太
トモ 柿原りんか
ヒロミ ミムラ
サユリ 小池栄子
フミコ 田中美佐子

映画『彼らが本気で編むときは』のあらすじまとめ!

「かもめ食堂」の荻上直子監督が5年ぶりにメガホンをとり、トランスジェンダーのリンコと育児放棄された少女トモ、リンコの恋人でトモの叔父のマキオが織り成す奇妙な共同生活を描いた人間ドラマ。生田斗真がトランスジェンダーという難しい役どころに挑み、桐谷健太がその恋人役を演じる。11歳の女の子トモは、母親のヒロミと2人暮らし。ところがある日、ヒロミが育児放棄して家を出てしまう。ひとりぼっちになったトモが叔父マキオの家を訪ねると、マキオは美しい恋人リンコと暮らしていた。元男性であるリンコは、老人ホームで介護士として働いている。母親よりも自分に愛情を注いでくれるリンコに、戸惑いを隠しきれないトモだったが……。
引用元:映画.com

映画『彼らが本気で編むときは』のネタバレと評価!

「普通とはちょっとだけ違う」カップルのマキオ(桐谷健太)とリンコ(生田斗真)の関係性に戸惑いながらも、ふたりの自然な愛情に少しずつ心を開いていくトモ。

リンコのほうもトモを我が子のように可愛がり、いつしか、「トモを本当の子どもとして育てたい」と思うようになります。リンコの想いを聞き、最初は悩みながらもトモを入れた3人での共同生活をイメージしはじめるマキオ。

そんな矢先、トモの実の母親であるヒロミ(ミムラ)が突然、ふたりのもとに戻ってきます。

「トモは私と暮らすべきなの」

実の母親なのだから当然とばかりに、トモを引き取ると主張するヒロミ。

育児放棄によってトモを苦しめたヒロミに母親の資格はないと、トモは自分たちで育てると主張するリンコでしたが、最終的にはトモ自身に決断を委ねることに。

さんざん悩んだ末、ヒロミのもとで暮らすことを決めるトモ。その決断の裏には、「やっぱり、私はトモのお母さんになれないかもしれない」というリンコの悩みがありました。

「姉ちゃんを頼みます」

マキオの言葉を胸に、ヒロミとの新たな暮らしをはじめるトモ。離れ離れになってしまいましたが、マキオとリンコ、そしてトモの3人は見えない絆と「編み物」で結ばれているのでした。

映画『彼らが本気で編むときは』の見どころは?

LGBTの方々を取り巻く現実をリアルに描き出した映画『彼らが本気で編むときは』には、皆さんにぜひともお伝えしたい見どころがたくさんあります。

これぞ荻上ワールド!

『かもめ食堂』、『めがね』など、ほどよくゆるいスローライフ的な世界観を上手に描き出してきた荻上直子監督。その独特の世界観は本作、『彼らが本気で編むときは』でも健在。性的マイノリティへの差別というシリアスなテーマにもかかわらず作品全体にどことなくほのぼのムードが流れているのは、やっぱり、荻上監督がふわふわした人柄だからなのかもしれませんね。

生田斗真演じるリンコも「女性よりも女性らしくて」品がありますし、リンコをやさしく支えるマキオもいい意味でつかみどころがなくて、お似合いのカップルに見えました。

ほんわかした雰囲気なのに、ところどころにちょっときわどいジョークもはさまれていたりして、荻上作品らしく、観客を油断させないつくりになっていました。

徹底したリアリズム!

どことなく別世界の話のようだった『かもめ食堂』とはひと味違って、『彼らが本気で編むときは』には荻上作品にはめずらしく、ほのかな「毒気」が込められています。

ヒロミたちの通報によって児童相談所による「監査」を受けるリンコたち3人。相談所の職員から投げかけられる質問はことごとく事務的で、リンコたちの心を無遠慮にえぐっていきます。リンコたちの目線に立ってストーリーを追っている観客にとっては職員が冷たすぎるように感じますが、世間的にはまだまだこちらの価値観のほうが主流なんだろうな、と考えると、何ともやるせない気分になりました。

小池栄子の振り切った演技も際立っていましたね。トモに対しても堂々と、リンコとマキオを「そっちの世界の人」と言い放ち、1日でも早く母親と暮らすように説得するサユリ。彼女としては素直なやさしさのつもりなのでしょうが、その偏った正義感がリンコとマキオ、そして何よりトモ自身を深く傷つけていることに気づいていないのです。

この映画を観なければ自分自身もまたサユリと同じ立場に立っていたかもしれないと考えると、重苦しい気分になります。

丁寧な伏線!

荻上作品にはめずらしく、全体のストーリーラインが比較的はっきりしている『彼らが本気で編むときは』。タイトルに込められた意味と伏線も大きな見どころのひとつです。

劇中では何度となく、リンコが編み物をするシーンが出てきます。リンコが熱心に編んでいるのは、毛糸の靴下。

「忘れたい出来事があった時、こうして無心になって靴下を編むの。1000足編んだら、願い事がかなうような気がしてね」

編み物をつづける理由をたずねるトモに、リンコはやさしくこたえます。トモを我が子のように愛しながら、決して子ども扱いせず、どんな時でも対等に笑い合い、悩みを分かち合おうとするリンコはとても女性的で、しなやかなやさしさがありました。

生田斗真の演技力!

自身のインタビューでも「今作が大きなターニングポイントになった」と語っているように、生田斗真の存在感なくしては『彼らが本気で編むときは』の世界観は成立しません。

この映画のためにLGBTの人たちを実際に取材し、役づくりについて徹底的に悩み抜いたという生田斗真。女性らしい所作とやさしさを身につけながらも、それでも本物の女性になることができない葛藤を抱える複雑なキャラクターをリアルに、そして立体的に演じきりました。

『彼らが本気で編むときは』から考えるLGBTの現実

『彼らが本気で編むときは』では、LGBTのT、トランスジェンダーの人たちの現実を丁寧に描き出しています。

クオリティの差こそあれ、男性の同性愛を主題に据えた映画は、これまでにもありました。某衆議院議員の問題発言など、男性同士のカップルに対する偏見が完全になくなっているとは言えませんが、フィクション作品や啓発活動が少しずつ浸透し、一歩ずつ理解が進んできた感があります。

一方、女性同士のカップルに目をむけてみると、メジャーな作品で取り上げられる機会は少なく、メディアもどこか腫れ物のように扱っている印象があります。

今後は日本でも、LGBTという括りをあえて意識する必要がなくなるほどお互いの理解が進むと良いのですが……。

映画『彼らが本気で編むときは』の全体の感想

荻上作品のふわふわした世界観と、俳優陣の存在感が光る『彼らが本気で編むときは』。当事者の方はもちろん、これをきっかけにLGBTの現実が知りたい、という方にもおすすめの1本です。

『彼らが本気で編むときは』を家でじっくり楽しむならコチラ!



作品タイトル 「彼らが本気で編むときは」
制作年 2017年
劇場公開 2017年2月25日
制作国 日本
監督 荻上直子
脚本 荻上直子
キャスト リンコ 生田斗真
マキオ 桐谷健太
トモ 柿原りんか
ヒロミ ミムラ
サユリ 小池栄子
フミコ 田中美佐子