ネタバレあり!映画『繕い裁つ人』のあらすじと見どころ!感想も!
池辺葵のコミック『繕い裁つ人』の世界観を中谷美紀主演で忠実に映画化。町の一角で細々と洋裁店を営み、時代の流れにあえて逆行しながらも自らの信念を貫く仕立て屋の女性店主の日常と、彼女に少しずつ影響を受ける人々との静かな交流を描いたヒューマンドラマです!
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作品タイトル | 「繕い裁つ人」 | |
制作年 | 2015年 | |
劇場公開 | 2015年1月31日 | |
制作国 | 日本 | |
監督 | 三島有紀子 | |
脚本 | 林民夫 | |
原作 | 池辺葵(コミック「繕い裁つ人」) | |
キャスト | 南市江 | 中谷美紀 |
藤井 | 三浦貴大 | |
牧葵 | 片桐はいり | |
ゆき | 杉咲花 | |
まり | 永野芽郁 | |
華子 | 黒木華 | |
橋本 | 伊武雅刀 |
映画『繕い裁つ人』のあらすじまとめ!
南市江(中谷美紀)は、先代からつづく洋裁店をたったひとりで切り盛りする腕のいい仕立屋。彼女の裁縫技術と仕立てのセンスは町を飛び越えて評判になっているが、市江は「大量生産されるための服は絶対につくらない」というスタンスを頑なまでにくずさない。
そんな彼女のもとに、ある日、大手メーカー勤務の藤井(三浦貴大)が訪ねてくる。彼は、「洋服のブランド化のために市江を説得する」という上司からの課題を達成すべく、洋裁店に立ち寄ったのだった。
藤井からどんなにブランド化のメリットを説明されてもいっこうになびく気配を見せず、ただ淡々と仕立屋としての日常を守りつづける市江。時代の流れに葛藤する藤井、便利なファストファッションをもとめるゆき(杉咲花)、まり(永野芽郁)など、さまざまな人とのふれあいを通して市江は少しずつ、自分を変える勇気をつかんでいく。
映画『繕い裁つ人』のネタバレと評価!
市江が洋裁店を営む町には、「夜会」という行事がありました。年に一度の「夜会」の日には、男性も女性もスーツやドレスに身を包み、普段とは違う自分になることができる。ただし、「夜会」への参加が許されるのは30歳を超えた男女だけ……。
それまでずっと、市江の服に対する価値観を変えようと努力をつづけてきた藤井ですが、はじめて参加した「夜会」の場で市江に「あなたはあなたのままでいい」と伝え、それから洋裁店に姿を現さなくなります。
先代からの付き合いの牧葵(片桐はいり)から、藤井が異動をしたことを聞かされる市江。自分がブランド化に応じなかったせいで藤井が異動したことをそれとなく察した市江は、ある日の街角で車椅子に乗った華子(黒木華)と出会います。
市江は華子から、華子の兄が無類の洋服好きで服飾にかかわる職業に就いていること、近々結婚する予定であること、車椅子生活なのでなかなかオシャレな服が着られなくて悩んでいることを聞かされます。
華子は、藤井の妹でした。
「彼女のためだったら、世界にひとつしかない、自分らしい一生ものの服がデザインできるかもしれない」
不思議なつながりに自らの運命を悟った市江は、車椅子で結婚式を挙げる華子のために、はじめてのウェディングドレスを仕立てることを決意するのでした。
映画『繕い裁つ人』の見どころは?
どこか時代を感じさせる、なつかしい映画『繕い裁つ人』には、皆さんにぜひともお伝えしたい見どころがたくさんあります。
市江に影響を与える人々
「頑固じじい」というあだ名がつけられるほどマイペースに自分の世界を守っているかのように見える市江ですが、実は少しずつ、町の人々から影響を受けています。
橋本さん
市江と同じく、町の仕立屋を営んでいる橋本さん。「南洋裁店」とは先代の頃からの付き合いとあって、市江を見守る眼差しはとても温かく、やさしさにあふれています。
物語の後半、仕立屋を店じまいすると伝える橋本さんに「やめないでください!」と必死で訴える市江は、それまでの物静かな印象とは一転、人間味が出ていて可愛らしくもありました。
ゆき・まり
市江や葵をはじめ、若干年齢層が高めの登場人物のなかで貴重な若者代表(?)と言えるのがゆき・まり。30歳以上にならないと参加できないという「夜会」の場に足を踏み入れ、普段は見せない大人の顔を知ることになるゆきたち。中学生ならではの若い感性と市江の信念との対比がわかりやすく、ファストファッションばかりを買いあさって満足している自分自身を反省するきっかけになりました。
本格的にブレイクする前の杉咲花ちゃん、永野芽郁ちゃんの初々しさが見られるのもおすすめポイントです!
牧葵
先代からの「南洋裁店」を知る牧葵。市江を陰ながら支える役どころで、口うるさいことは言いませんが、タイミングを見てそっと藤井のメッセージを伝えるあたり、セリフには表れない絆を感じさせます。片桐はいりさんの「自然だけど、どこかクセになる」演技もこの映画のアクセントですね。
個性派ということで言えば、余貴美子さんも負けてはいません。さりげない動きやセリフまわしが存在感たっぷりで、市江のキャラクターに多面性を与えています。
藤井
『繕い裁つ人』のもうひとりの主役ともいえる藤井。はじめのうちは市江を何とか説得しようと懸命になり、時代の流れに合わせようとしない市江に苛立ちさえ感じる藤井でしたが、信念を貫く市江の生き方に少しずつ影響され、「本当の意味で心に響く洋服とは何か」ということについて考えはじめます。
演じるのは、三浦友和の次男として人気・注目度ともに急上昇中の三浦貴大さん。俳優としてのキャリアも充分で、これまでにも数々の話題作に出演していますが、『繕い裁つ人』も代表作のひとつになりそうな気がします。
性別で変わる?市江のキャラクター
映画では「凛とした生き方を貫く女性」として描かれている市江ですが、観る人の性別によって見え方が変わってくるかもしれません。
女性から見た市江
あくまでも個人的な印象ですが、『繕い裁つ人』は全体的に女性の視点から描かれているような気がします。仕立てた洋服をやさしく撫でる市江のカメラワークや何気ない言葉の選び方などに「女性ならではの目のつけどころ」が感じられ、見ていてとても心地良いのです。
女性から見た市江の生き方は、こういう表現は適切でないかもしれませんが「理想のおひとりさま」のようでもあり、どんな時でも凛として、強くしなやかに信念を貫く市江の生き方はきっと、たくさんの女性の共感を得られるはずです。
男性から見た市江
男性から見た市江はもしかしたら、ちょっとだけ近寄りがたいかもしれません。性格がきついとか、極端に気が強いとか、そういうことはないのですが、何を聞いてものれんに腕押しでのらりくらりとこたえる市江は何ともつかみどころがなく、恋愛経験が浅いうちは近づくだけでビビってしまうかもしれません。それでいてとびきりの美人というところがまた罪深いんですよね!
仕事に生きる……と言いつつ、心の奥底では藤井にほのかな想いを寄せている市江。藤井が異動したことを伝えられ、ひそかに動揺する市江は初恋を覚えたばかりの少女のようで、失礼ながら「可愛いところもあるじゃん」と思ってしまいました。
映画『繕い裁つ人』の全体の感想
時代に流されず、自分の信念を貫く女性の生き方を描いた映画『繕い裁つ人』。効率性優先の世の中にそっと疑問を投げかける意欲作です。ファストファッションも便利でいいけれど、一生に一着ぐらいは、自分にしか着られないオーダーメイドの洋服を作ってみたいなと思える映画でした。
『繕い裁つ人』を家でじっくり楽しむならコチラ!
作品タイトル | 「繕い裁つ人」 | |
制作年 | 2015年 | |
劇場公開 | 2015年1月31日 | |
制作国 | 日本 | |
監督 | 三島有紀子 | |
脚本 | 林民夫 | |
原作 | 池辺葵(コミック「繕い裁つ人」) | |
キャスト | 南市江 | 中谷美紀 |
藤井 | 三浦貴大 | |
牧葵 | 片桐はいり | |
ゆき | 杉咲花 | |
まり | 永野芽郁 | |
華子 | 黒木華 | |
橋本 | 伊武雅刀 |
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